[正直さは、人と比べるものではない]タルムード金言集「正直な仕立て屋」

お金の勉強

ヤッホー♪けんちゃんです。

インテリ集団であるユダヤ人のバイブル「タルムード」シリーズ、第2弾です!

ユダヤ人は、世界人口の0.25%しか存在しません。しかし、ノーベル賞受賞者のうち20%はユダヤ人であり、世界長者番付(Forbes)にも、ユダヤ人が上位に入ってきます。そんなユダヤ人の家庭で、子どもに読み聞かせされているのが「タルムード」なのです。

※本ブログでは、参考文献として、タルムードを日本語訳した書物「タルムード金言集」を用いています。

第1弾「黄金の冠を被った雀」はこちらから↓

タルムード金言集「黄金の冠を被った雀」の話から学べること
ヤッホー♪けんちゃんです! 皆さんは、「タルムード」という書物を知っていますか? これは、ユダヤ人の家庭で、親が小さな子どもに絵本のごとく読み聞かせる小話を集めたものです。 ユダヤ人といえば、世界の名だたる偉人を多く輩出していることでおなじ...

今回ご紹介するのは、「とある正直な仕立て屋のお話」です。

正直な仕立て屋

ある国では、干ばつが人々を苦しめていました。そんなとき、その国の聖職者が、夢の中で神様からお告げを受けました。

「仕立て屋に祈りを捧げさせなさい。そうすれば、雨を降らせてやろう。」

※仕立て屋・・・顧客の体型や要望に合わせて服をデザインし、生地の裁断・縫製を行う職人。

ところが、仕て屋は教養がなく、聖書の暗記をしていないうえにヘブライ語がわかりませんでした。そこで聖職者は、仕立て屋ではなく別の教養人にお祈りをさせました。しかし、一向に雨は降りません。

仕方がないので、聖職者は仕立て屋を呼び出し、人々を代表して祈りを捧げさせました。

仕立て屋は、こう唱えました。

「私は40年もの間、一度たりとも不誠実な商売をしたことはございません。他の商人たちは、今まで散々ずるいことをしてきました。巻き尺の目盛りの間隔をわざと狭くして、高い代金をむしり取る他の仕立て屋。秤を故意に狂わせて、誤った重さを量る粉屋。油の量をごまかす油屋。しかし、私だけはずっと正直でした。決して嘘をついたことはございません。私の、この正直さを認めてくださるのなら、雨を降らせてください。」

すると、空に雲がかかり、雨が降り始めました。人々は皆、歓喜にわきました。この奇跡を目の当たりにした他の仕立て屋、粉屋、油屋などは急いで仕事場に行き、巻き尺や秤のズレを正しましたとさ。

この話から学べる教訓

僕は、この話には、2個(+1個)のメッセージが込められていると考えます。

①まずはマインドセットありき。スキルはその次。

今回のポイントは、「神に祈りが届いた仕立て屋はエリートではなかったが、誠実な心を持って商売をしていた。」ということです。その一方で、知識人たちは秀才ぞろいですが、雨乞いを成功させることはできませんでした。神様は、学問を究めた人間よりも、正直さという人格を重んじたのです。

渋沢栄一氏の名著「論語と算盤」にもあるように、道徳は成功に欠かせないものなのですね。

当然ながら、いくら力を持っていても他人に対して高圧的であれば、人は離れていきます。真の実力者ほど謙虚であり、腰が低いのです。あるいは、謙虚で腰が低いからこそ、究極の高みへと上り詰められるのかもしれません。

昔話などに登場するお金持ちは、どういうわけか嫌な感じの人が多いです。しかし、現実世界では逆です。本物のお金持ちほど性格もよい。まずは心構えを正すところから。メンタルが整えば、自然と結果やスキルはついて来ると考えます。

もちろん、「道徳があればオールオッケー」などと言うつもりはありません。「道徳なき経済は犯罪だ。」という真理に並んで、「経済なき道徳は寝言だ。」という言葉もまた真実です。

②適切な商売は認められる

そこで、2つ目の教訓は、経済に関することです。

お金自体は中立。真っ当な稼ぎ方と、汚い稼ぎ方があるだけ。「正々堂々とした金儲けは、きちんと評価される。」正直な仕立て屋の話は、このことも伝えているのではないでしょうか。

適切な商売とは、「三方良し(売り手、買い手、世間の全てに対して利益がある)の商売」のことです。売り手、買い手、世間のどれかにとって好ましくない要素が入っていたら、その商売は長続きしません。

前述したとおり、仕立て屋は教養人ではありませんでした。しかし、商売に関しては、決してごまかすことなく取り組んできました。その姿勢が神様に評価され、雨を降らせるに至りました。

「たとえ情報処理能力で突出した成績を収められなくても、買い手と世間を想ったビジネスができれば神様に愛される。」

エリートになれなかった人こそ覚えておきたい教えですね!

仕立て屋の重大ミス。バッドエンドの元!?

ここまで、「仕立て屋は正直者で性格が良かったから、報われたんだよ~。」という話をしてきました。しかし、理不尽がまかり通る現代社会を生きる方々は「そんなのきれいごとだ。実際は、正直者が馬鹿を見ている。」と思ったのではないでしょうか。

そこで、今回の記事の最大のテーマ「豊かになる正直者と、損する正直者の違い」について解説していきたいと思います。

豊かになる正直者とは、「自分が正直でありたいから正直に振る舞う者」です。

ここで、「あれ?この話の仕立て屋って・・・」と思った方は、鋭いです。もう一度、仕立て屋の祈りの文言を見てみましょう。

「私は40年もの間、一度たりとも不誠実な商売をしたことはございません。他の商人たちは、今まで散々ずるいことをしてきました。巻き尺の目盛りの間隔をわざと狭くして、高い代金をむしり取る他の仕立て屋。秤を故意に狂わせて、誤った重さを量る粉屋。油の量をごまかす油屋。しかし、私だけはずっと正直でした。決して嘘をついたことはございません。私の、この正直さを認めてくださるのなら、雨を降らせてください。」

お気づきでしょうか。この仕立て屋は、「自分の正直さを強調するために、他人をディスりまくっている」のです。

僕はここに、今回の話の落とし穴があると考えます。皆さんの周りに、努力が報われた人がいたとしましょう。その人はずっと正直に仕事をしてきましたが、いざ昇進するやいなや「他の奴らは不誠実極まりなかった。ほらみろ!俺はお前らとは違って誠実だったから成功したんだ!俺の正直さを見習え!」と叫び散らかしました。仕立て屋は、これと同じことをしてしまったわけです。

長年の努力に免じてか、神様は雨を降らせてくれました。しかし、今後はどうでしょうか。一時的に高いポジションにつけても、このような態度をとっていては、やがて誰からも祝福されなくなってしまいますよね。

ここで、「正直な仕立て屋」の3つ目の教え「正直さは、人と比べたり、人に強いたりするものではないということ」が、仕立て屋を反面教師にすることで見いだせます。

今回の仕立て屋は、「損をする正直者」なのかもしれません。これは、「自分は正直だったから評価されるべきだ。そして、他人も正直に振る舞うべきだ。」と考える人のことです。

自分は変えられますが、他人は変えられません。自分が正直に生きることこそが大切で、それが報われるかどうかは別なのです。それを受け入れられなければ、先出しトップギバーマインドを保てなくなります。

「正直さについて、他人は関係ない。ただ、自分に誇りを持って生きるだけ」。この心構えを肝に銘じておきたいですね!

まとめ

いかがでしたか。「正直な仕立て屋」の話が伝えてくれるメッセージをおさらいすると、以下のようになります。

①まずはマインドセットありき。スキルはその次。

②適切な商売は認められる。

③正直さは、人と比べたり、人に強いたりするものではない。

あくまで自分の内面にマインドフルになることで初めて、正直さがあなたを助ける武器になるのですね。ぜひ、心に留めておいてください。

どうぞよしなに。

(参考文献)

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