ヤッホー♪けんちゃんです。
「現代人の没頭力は金魚以下だ」ということが、研究により判明しています。
これはゆゆしき事態ですよね。どうすれば、私たちの集中力を最大限に引き出せるのでしょうか。この難題を解く鍵は、「獣と調教師」にあります。
「獣と調教師」とは?
これは、人間の中に潜む「本能と理性」を表した比喩です。ご存知の通り、本能(獣)は、凄まじいパワーを持っています。代表例が、食欲や睡眠欲です。お腹が空いているときに美味しいご飯が出されたら、私たちは無我夢中で食べますよね。いにしえの獣の力は、人間が進化する中で生存しやすいようにプログラムされてきました。
それに対して、理性(調教師)は極めて非力です。本能にパワーで打ち勝つことは、残念ながらできません。さらに、脳のリソースを大量に使います。
人間は、調教師の力で獣を律し、狩猟採集の時代から現代まで生き延びてきました。ここで、1つの問題があります。「獣と調教師」の関係は、我々の祖先がマンモスを追いかけていた頃に適合していたものです。しかし、旧石器時代と令和とでは、状況が違いすぎます。旧石器時代にはなかった超常刺激が現代には溢れており、たびたび獣を暴走させています。例えば、人間の脳をバグらせる元凶として、ジャンクフードやSNSなどが挙げられます。これらの刺激はドーパミンをガンガン分泌させ、人間をドーパミン中毒にしていきます。これが、集中力減退の根本原因です。また、現代人のタスクは狩猟採集と違って、完結までの時間が数ヶ月から数年にわたることが多いです。この「ゴールが見えにくい」という状況も、進化と現代のミスマッチです。
注意散漫がデフォルトである人間の脳
そもそも人間の脳は、注意をあちこちに散らすようにできています。そうした方が、狩りをする毎日の中で生き残りやすかったからです。我を忘れて目の前のことに夢中になっていたら、サーベルタイガーの接近にも気付けません。そうやってマインドワンダリング状態になるからこそ、人間は自分よりも強い相手がいる中で生存できたのです。かのダーウィンが唱えた「弱肉強食よりも適者生存」とはこのことですね。
しかし、現代ではその「生存のための注意力分散」が、かえって足枷になっています。当然ながら、今皆さんの周りにサーベルタイガーはいませんし、注意散漫になっているばかりでは人生を変えられません。では、どうすれば「進化の過程でできたプログラム」を抱えた状態で、集中力の化け物になれるのでしょうか。答えは1つです。「いにしえの力に抗うな。むしろ、上手く利用して乗りこなせ」。
獣の力を、調教師によって操るには
人間は注意散漫がデフォルトである一方で、凄まじい集中力を発揮する力も備えています。原始人がマンモスと戦うときは、全神経を目の前の巨獣に集中させていたことでしょう。これを、私たちの生活でも発揮できないか、というのが今回のテーマです。
人間がそういった超集中状態(フロー)に入るには、大きく分けて2つのトリガーがあります。1つ目は「身の危険が迫っているとき」。2つ目は、「目の前にご褒美があるとき」。なんとかして、これら2つの集中力スイッチを、タスクに取り組む際にONにしたいものです。それを成し遂げるために、僕が試した工夫「報酬感覚プランニング」を紹介します。
「報酬感覚プランニング」で紙に書き出すこと
①「〇〇まであと何日」というカウントダウンをする
これは、「ゴールが近づいている。」という実感を湧かせるために数えます。日々の目標達成に向けて、自分が設定した締め切りまでの日数をカウントするのが王道です。
また、もう少しユニークな目的でこの「締め切り効果」を使うこともできます。それは、「残りの人生で、大切な人と過ごせる日数をカウントダウンする」というものです。例えば、あなたに85歳の祖父がいるとしましょう。祖父が100歳まで生きるとしても、おしゃべりしたりできる日数は、あと365日×15年=5475日しかありません。しかも、これは毎日会っている場合です。もし、会うのが1年に1回の人なら?あと15日になります。このようにして日数カウントをすると、人生全体の過ごし方をも変えるきっかけになります。
②目標を達成したらどんなご褒美を自分に与えるか、書く
獣は、報酬があるから怪力を出すことができます。好きな本を買うもよし、美味しいご飯を食べるもよし。自分が「これが楽しみだから努力できる」ということを見つけましょう。ここでのポイントは、「絶妙な難易度のタスクを定め、あくまで大きすぎないご褒美を考える」こと。人間は、ミッションが簡単すぎても難しすぎてものめり込めません。「ちょっと困難だけれども、気張ったらできそう」という仕事に取り組むとき、パフォーマンスが最大化するのです。また、ご褒美が大きすぎても、かえってモチベーションが下がってしまいます。獣が、圧倒された気分になってしまうんですね。「ifこのタスクを3日かけて敢行したら、 thenブックオフで本を1冊だけ目利きする」などといった「スモール報酬」を大切にしましょう。
③予想される障壁も含めて、細分化した計画を書き出す
「障害とリカバリー法も計画する」ことが、獣をてなずけるには欠かせません。「if 途中でモチベーションが下がったら then 好きな音楽を1曲聴いてテンションを上げる」のように、if then 形式でトラブルとその対策を考えておくのが有効です。
また、「意図的に」サボることもポジティブな効果があります。「自分はリフレッシュまで計画通りに進められている」という、獣の自己効力感向上に繋がるからです。
こうして、不測の事態をも予測下に置いたところで、トドメを刺します。目標達成のために行うアクションを、できる限り細かくするのです。単に、「簿記の勉強を1時間する」と決めるだけでは不十分です。
if 朝起きて歯磨きをし、水を飲んだら
then⑴まっすぐにリビングへと向かい
⑵予めスタンバイしておいた簿記動画を
⑶15分あれば終わるので、やり切る
のように。事前の段取りが明確なほど、獣は目標を現実的なものだとみなしやすくなり、没頭力が高まります。
まとめと注意事項
いかがでしたか。獣のパワーを、調教師による緻密な「ご褒美計画」で逆手に取るのは、当然ながら至難の業です。しかし、なす術なく本能を超常刺激に乗っ取られるよりは、こうして計画を立てた方が建設的なことは明らかでしょう。
最後に、皆さんに「心が折れないためのアドバイス」をして、本記事を締めくくりたいと思います。それは、「もし集中できなかったら、一旦休憩を挟んでから立て直そう」ということ。前述した通り、獣の暴走を調教師が完全に抑え切ることはできません。どんなハイパフォーマーでも注意散漫になることはありますし、適切なマインドワンダリングにはメリットもあるのです(記憶の定着やクリエイティビティ向上など)。
報酬計画を立てても没頭できなかったのなら、それはもしかすると「休め」という身体のサインなのかもしれません。どうか自分を責めずに、一歩一歩前進していってくださいね。どうぞよしなに☺️
(参考文献)
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